子供のことを心配する保護者の方は多いと思います。
子供が勉強をしなかったり、親の言うことを聞かずに反抗的な態度をとったり、何を考えているか分からなかったり、学校や塾をサボったりすれば、子供のことが心配になりますよね。
他のお子さんと比べて、うちの子供は・・と思うこともあるかもしれません。
親はみな、子供のためを思って心配をします。
でも、残念ながら心配をすることによるメリットはありません。
むしろ、心配をすることで、子供にはマイナスの影響を与えます。
なぜならば、心配をするということは、今の子供の状態がよくないと思っている(=今の子供の状態を否定している)ということだからです。例え、口に出さなかったとしても、親の心配の気持ちは、子供に伝わります。
今の自分の状態を否定される子供は、前向きな気持ちを持って、頑張ることはできません。潜在意識の中に「自分はダメなんだ」という気持ちを持っている子供は、頑張ろうとすることに対して無意識にブレーキをかけてしまいます。
だから、親が子供を心配することで、余計、子供は頑張れなくなってしまうのです。
逆に、子供にとって最も力になるのは、「今のありのままの自分のことを認めてくれて、自分の可能性を信じてくれる人の存在」です。
例え、いまどんな状況にあっても、全然勉強をせずに、友達もいなくて引きこもっていたとしても、「そのままでいいんだよ」「あなたの存在自体が嬉しいんだよ」「今はできなくても必ずできるから焦らなくていいんだよ」と子供のことを肯定してあげることができれば、そうした自分のことを信じてくれる人がいる子供は、いずれ必ず自分の力を発揮できるようになります。
そして、子供のことを無条件で認めて、信じてあげることが出来る人は、家族以外にはいません。
でも、そうしたことを理屈では分かっていたとしても、それでも、目の前の子供が、親の苦労や気持ちも知らずに生意気なことばかり言ってくれば、そうした子供を心配せずに信頼しようと思っても、なかなか出来ないことも多いかもしれません。
親も急には変わることが出来ないでしょうが、試行錯誤を繰り返しながら、徐々に変わっていくことが出来ます。
ここでは、子供への接し方として、意識して頂きたいポイントを2つご紹介します。
プラスの声がけをする
有名なインディアンの言い伝えで「子供は言われた通りに育つ」という話があります。
では、質問です。
子供がなかなか勉強をしないときに、どちらの声かけが子供のプラスの行動を生むでしょうか?
A:「あなたは全然勉強をしないから心配だ」(子供のことを思って言う)
B:「お前は(今は勉強しないけれど)やるときはやると信じている」
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Aの声がけは、子供の潜在意識に、「自分は勉強をしない子供だ」「心配される子供だ」という気持ちを植え付けます。その結果、その子供は、無意識により勉強をしなかったり、心配されるような行動をとり続けることになります。
Bの声がけは、子供の潜在意識に、「自分はやるときはやるんだ」「自分を信じてくれる人がいる」という気持ちを与えます。その結果、その子供は、無意識に勉強をしやすく、頑張りやすくなります。
潜在意識が人の行動に与える影響は、実はとても大きいです。そして潜在意識にマイナスの感情があるとマイナスの行動をとり、潜在意識にプラスの感情があるとプラスの行動をとります。ですから、親ができることとしては、いかにして子供にプラスの感情を植え付けることができるのかが、最も重要なことなのです。
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では、兄弟をいじめている子供には、どんな声がけをしたらよいでしょうか?
A:「いじめをやめなさい!お前は弟をいじめて、悪い子だね!怒」(子供によくなってほしいと思って言う)
B:「いじめられた人の気持ちを考えてみなさい。あなたは心が優しい子供だから、相手の気持ちが分かると信じているよ。」
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Aの場合は、怒られたら、一時的にいじめをやめるかもしれませんが、潜在意識に「自分はいじめをする悪い子」という気持ちを持ってしまい、より悪いことをするようになり、負のサイクルでどんどんグレていく可能性があります。
Bの場合は、潜在意識に「自分は心が優しい子」という気持ちを持つようになりますので、誰かを助けたり、心が優しい人としての行動をとるようになっていきます。
子供は、親に言われた通りの行動をするようになる、だから子供のことを心配する(=子供の現状を否定する)のではなく、子供を肯定して、プラスの行動をとるような声がけをする必要があるということを理解して頂けたでしょうか?
「自分のことを認めてくれている・信じてくれている!」と感じらる子供は最強です。
無意識のうちに自己肯定感を植え付けられていると、前向きに物事に取り組みやすくなります。
もちろん失敗もたくさんするでしょうが、自信を力にそれらを乗り越えていけるでしょう。
そのためには、よい意味で親が開き直ることも大事でしょう。
親側も「可愛い子には旅をさせる」という気持ちを胸に、時には距離を置いて子供に任せてみる余裕を持てると、子供たちにとってのよい環境作りにつながると思います。
原因を理解して、一緒に解決策を考える
子供が勉強をしないとか、学校に行きたがらないなど、色々な心配事があるかもしれません。
でも、心配をしても何もよいことはないことは、既に説明したとおりです。
勉強をしない子供に、勉強をしなさいと怒っても、勉強するようにはなりません。逆に、嫌々勉強をすれば、余計に勉強が嫌いになります。
勉強をしないのには、何かしら原因があります。
本来、子供は好奇心が旺盛ですので、状況が整っていれば、学ぶことが好きです。勉強は嫌々やるものではなく、楽しんでやるものです。
「勉強をしたくない」という気持ちがある場合には、
・勉強以外のことで悩みがあったり、疲れが溜まっているなど心身の状態が整っていない
・先生と合わなかったり、学校と合わなかったり、自分のタイミングやペースに合わない状態で勉強をしなければならない
・楽しく勉強するコツを知らない、難しすぎることをやっていて理解できない
・集中して勉強に取り組む環境がない
などの原因が考えられます。単に「うちの子供は勉強をしない」と嘆くのではなく、なぜ子供が勉強をしないのかの原因をじっくり理解して、その解決策を一緒に考えてあげましょう。
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また、「学校に行きたくない」という場合には、友達と合わない、先生と上手く関係が作れない、勉強面で不安がある、体調が整っていない、自己肯定感が育まれていない…などの原因があるかもしれませんので、リラックスしてゆっくりと話せる時間を作り、心の内を聞いてあげられるとよいでしょう。
親に心配かけないように、子供が一生懸命隠しているのかもしれません。
「勉強なんてしなくてもよい」「学校なんて行かなくてもよい!もっと大切なことがある!」と思える人は一番強いですが、子供を大切に思うからこそ、なかなか難しいかもしれません。
そんなときは、子供の様子を見ながら、子供が持っている可能性を十分に発揮出来ていないとすれば、その理由を一緒に考えてあげるところから始めるのがよいと思います。
子供の表情や言葉から思いを汲み取り、子供たちの気持ちを大切にしながら「導いてあげる」ではなく「支える」という意識で寄り添ってみてください。
いかがでしたでしょうか?
子供たちは親の表情・声・態度・言葉など、色々な所からたくさんのことを感じ取っています。
子供たちが自己肯定感を持って色々なことに取り組み、失敗しても乗り越えて成長していけるように、保護者の方も
・プラスの声がけをする
・原因を理解して、一緒に解決策を考える
を意識して、焦らずに見守ってあげながら、子供たちに接してみてください。
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