④子供の潜在意識を変える

私達の脳の働きには、自覚できる「顕在意識(けんざいいしき)」と、自分では自覚していない「潜在意識(せんざいいしき)」とがあります。

そして、実は私達の行動に影響を与えるのは、顕在意識よりも潜在意識の方が大きいと言われています。

ですので、自分ではテストの前に勉強をしようと思っていても、潜在意識の中に「自分は勉強を頑張れない。途中でサボってしまう。」という無意識が根付いていると、自分では頑張ろうと思っているつもりなのに、集中できなくなってしまうのです。

悪いことをする子供をしかって、「お前は悪い子供だ」と言うと、自分は悪いという潜在意識が植え付けられて、無意識のうちにより悪い行動をとるようになり、ひいてはグレたりするようになってしまいます。「お前は勉強ができないね」と伝えれば、どんどん勉強ができなくなります。

逆に、悪いことをした子供に、「お前は本当はよい子供だ。信じているよ。」というような言葉をかけていけば、子供は無意識のうちによい子供としての行動をとりやすくなります。

「お前は頑張る子供だ」との声がけを受ければ、無意識のうちに頑張りやすくなります。「あなたは勉強の素質があるね」と言われれば、自分は素質があるのかなと思って、やる気が起きやすくなります。

ですから、子供に頑張ってほしい、よい大人に育ってほしいと思うのであれば、子供の潜在意識にどんどんポジティブな気持ちをインプットして、自己肯定感を高めていくことが大事なのです。

ここでは、そのための具体的な方法を幾つか紹介します。


①存在自体を肯定する(親の笑顔の力)

子供にとって、自己肯定感が最も高まるのは、自分の存在自体が肯定されるときです。

よい成績をとったから認められる、よいことをしたからほめられるのではなく、ありのままの自分を認めてくれる人がいることです。

子供が勉強をしなかったとしても、学校に行かなかったとしても、友達がいなかったとしても、子供が生きているだけで嬉しいと思うことができるのは、家族以外にはいません。

子供が親に言われて一番嬉しいのは、「お前を産んでよかった」という言葉です。なぜならば、自分の存在が全て肯定されるからです。(ただし、この言葉の効果はとても強力ですので、頻繁に使う必要はありません。)

何があっても自分を認めてくれる人がいると思える人は、困難や嫌なことがあっても、頑張ることができます。

これに関連することとしては、「子供のありのままを認める」でも書きましたが、子供の潜在意識に前向きな気持ちが根付くために、「笑顔の力はとても大きい」です。

何も言葉で発しなくても、親が笑顔でいれば子供の自己肯定感は高まり、親がイライラしていたり不安な状態であれば、子供の自己肯定感は下がります

②子供をほめなくてよい。前向きな言葉をかける

「ほめて伸ばす」という言葉をよく耳にすると思います。

でも、無理をして子供をほめる必要はありません

なぜならば、ほめて伸ばそうとすれば、子供ができている部分をほめることになりますが、結局、親が考えるよいことをしたらほめる、親が考える悪いことをしたら叱る(もしくは、ほめない)ことになり、子供のありのままを認めて肯定することにはならないからです。

ほめるよりも大切なことは、どんなときでも、前向きな言葉をかけることです。

「好きだよ」「頑張ったね」「信じているよ」「大丈夫だよ」「できるよ」「よかったね」というような前向きな言葉を伝え、よいことがあったときは、ぜひ一緒に喜んでください。

では、子供が親の言うことを聞かなかったり、勉強をしなかったり、学校に行きたくなかったりというような状態のときには、どのような言葉をかければよいでしょうか?

子供がそのような状態のときには、何らかの理由があります。

そこで焦って勉強をさせようとしたり、学校に行かせようとしても、問題の解決にはならず、逆に問題を悪化させてしまいます。

まずはそんな状態の子供を受け入れてあげた上で、時間をかけながら、なぜ子供がそのように考えるのかの原因を探して、その原因を解決することが必要です。

そんな状態のときでも、やはり「大丈夫だよ」「焦らなくていいよ」というような、今の状態を認めてあげる言葉をかけてあげることによって、少しずつ子供の前向きな気持ちを育むことができます。

ここでも、笑顔は大きな力になります。


③出来ていないところよりも、出来ているところに目を向ける

子供は、まだ大人ではありませんので、ちゃんと出来ていないことがたくさんあります。(大人でも出来ていないことがありますよね。)

大人からすれば、

「なんで、そんな簡単なことをちゃんとやらないの?」

「ちゃんとやるって約束したよね?」

とイライラしてしまうこともあるかもしれませんが、

ただ、ここで気を付けて欲しいのは子供が出来ていないからといって、注意ばかりすると、子供の潜在意識に「自分は出来ない」というマイナスがたくさんインプットされて、結果、出来ない子供としての行動が強化されてしまう(注意したことが逆効果になる)ことです。

なぜならば、人はみな無意識のうちに潜在意識に入っていることを実施しようとするためです。

ですので、できる子供になってほしいならば、その子供の出来ている部分に目を向けて、そこをしっかり肯定してあげること、「あなたはできるんだ!」ということを繰り返し伝え、子供の潜在意識に出来るイメージをインプットする必要があります。

出来ない子供を変えるためには、出来ていないことを指摘するのではなく、出来ているところを伸ばしてあげることが必要であって、どれだけ、出来ていない子供のよい所を見つけてあげられるかが、親や指導者の力量です。

メジャーリーグで大活躍をした田中将大投手(マー君)ですが、まだプロ野球に入団した当初、コーチの目からすれば、直すべき欠点がたくさんあったそうです。でも、監督やコーチは欠点には触れず、良い所をどんどん伸ばして行ったそうです。

「人の欠点を指摘して直そうと思っても、なかなか直らない。でもよい所をどんどん伸ばしていくことによって、いつのまにか欠点と思っていたところも気にならないほどになっている。」と旅行会社HISの沢田秀雄会長も同様に語っています。

勉強をやらない子供に対しても「勉強の素質があるね」と前向きな言葉をかけると、「もしかして、自分も頑張ればできるようになるのかな?」と自己肯定感の芽が生まれます。

そして、できている部分をどんどん認めて、肯定してあげることで、その芽がどんどん伸びていき、だんだんと勉強をやるようになっていくのです。

中には、自己肯定感を高めるために時間を必要とする子供もいますが、焦らずに、その子の成長に合わせて、前向きな言葉をかけ続けてください。


④家族のことをよく話す

日本では、昔から、奥さんのことを愚妻と言ったり、自分の息子や娘のことを本当は出来る子であっても「全然ダメで困っている」と謙遜して言うことが美徳だとされてきました。

でも時代は変わり、家族のことを過度に卑下することは、もう必要ありません。

「言霊」という言葉をご存じですか?

口にした言葉は、本当になりやすいという意味です。

ですから、自分の家族のことを「ダメだ、ダメだ」と言っていると、家族の自己肯定感を下げて、実際にダメな家族になっていきます。

それよりも、自分の家族のことを良く言い、家族みんなの自己肯定感を上げていく方がとても大切です。

これは、自分のことについても同じです。

自分のことを自慢するのはよくありませんが、だからといって過度に自分を卑下して、「自分なんて」とか「私には無理」という言葉を多用すると、どんどんと自分の潜在意識にマイナスのイメージを植え付けることになります。

それよりも、「大丈夫」「私はできる」「きっと上手くいく」という前向きな言葉を使用することによって、自分の潜在意識をポジティブにしていき、焦らずに無理のない範囲で頑張ることを続けることが、成功の秘訣です。

普段から、自分のことや家族のことをよく言う習慣を作ってください!


大人の言葉や態度は、子供たちに大きく影響しています。

身近な大人が、プラス思考を意識して子供に接することで、子供の潜在意識は自然と前向きなものに変わっていきます。

今日から早速

存在自体を肯定する(親の笑顔の力)

・子供をほめなくてよい。前向きな言葉をかける

・出来ていないところよりも、出来ているところに目を向ける

・家族のことをよく話す

この4つを意識して、子供たちと接してみてください!

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