⑤人によって異なるタイミングを理解する

子供のタイミングや関心を尊重する

いつやる気が出るかは、人それぞれでタイミングが異なります

そもそも、勉強や他の事に対するやる気は、自己肯定感がしっかり育まれているときに、生じやすいものです。そして、子供が自己肯定感を育むためには、周囲が温かく見守り、前向きな声がけをするなどの環境が大事です。

ただし、適切な環境にあったとしても、自己肯定感の芽が生まれて育つのに要する時間は、人それぞれによって異なります。

小学生のうちから積極的に物事に取り組み、勉強の楽しさに気付く人もいれば、中学3年生になってから気付く人もいます。

早くに成長する人もいれば、ゆっくりと成長したり、かなり遅れて成長する人もいますが、遅れた方がよいものが実ることもありますので、焦る必要はありません

そもそも「学校の勉強よりも、もっと他にやりたいことがある!」という人もいるかもしれません。

一番大切なことは、どんなことであっても一生懸命取り組むことです。

今は世の中の価値観が多様化して、個性を発揮することが重視されるようになってきています。

勉強が苦手でも、何か他のことに一生懸命取り組めば、活躍するチャンスはたくさんあります。

子供が「今はやる気が起きないんだ…」と言っていても、大丈夫です!

「何で!」「どうしたの!」というように声をかけて焦らせてしまうより、温かく見守って、自分の心の向くままにたくさんのことに触れてみて、自分が何が好きか、自分が心を動かされるものは何か、そうしたことを考えるきっかけを作ることが大事です


変わるのには時間がかかる:子供がやる気を出した時にどうサポートするか

子供が勉強や他の事に対してやる気を出したとしても、すぐに上手くいくとは限りません。

逆にすぐには上手くいかないことの方が多いです。

なぜならば、新しい習慣を身に付けるのには時間がかかるからです。

これまであまり勉強をやっていなかった子供が、勉強の目標を設定して、毎日勉強する習慣を作ろうとしても、すぐに毎日ちゃんと勉強するようになるのは、難しいかもしれません。

1日、2日は勉強するものの、3日目には、ちょっと飽きてきてやらなくなってしまったり、用事が入って忙しくて勉強をしない日々が続いたり、ということが起きるかもしれません。

だからといって、諦めないでください

やっぱりこの子はダメなんだと思って、「あなたはどうせできない」とか「やっぱり続かなかったね」というようなネガティブな声がけをするのは、厳禁です。

子供がやる気をだして、変わろうとしているときに、そのやる気の芽を潰してしまわないで、失敗を乗り越えても成長していけるように、次のような点を子供に伝えるとよいでしょう。

1つ目は、目標は徐々に高くするということです。

勉強であれば、これまで全然勉強をしてこなかった子供が、難しい学校の試験に合格をしたいという目標を持つのはよいことですが、その間には、ステップを作り、まずは次の試験で○点をとり、次には模試で、というように、最終目標に到達をするために、目標を分けて設定することが必要です。

そして、これまで勉強をしてこなかった子供が急に毎日3時間勉強をしようと思っても、その習慣がないため、最初は30分、次に1時間というように、徐々に行っていくことが必要です。

特に最初は、目標を達成するという成功体験を重ねることが大事ですので、高い目標を掲げるよりも、「クリアできそうな目標からチャレンジする」ことがよいでしょう。

2つ目は、ゼロにはしないということです。

目標を達成するためには、毎日の努力を続ける習慣を作る必要があります。

でも、習慣を作ろうと思っても、部活動や習い事で忙しかったり、疲れていて勉強ができないような日が出てきて、毎日続けるのは最初は簡単ではありません。

そんなときは、完全に何もしないのではなく、5分でもよいので勉強をして、ゼロにしないことが大事です。

たった5分であっても、何もやらないのと、少しでもやったのとでは、習慣を作る上でとても大きな違いが生じます

疲れているときに「これから2時間勉強しよう」と思うと、なかなか気持ちが乗らないと思いますが、「5分だけ勉強して、単語1つ覚える」であれば、出来ますよね。

ゼロにせずに続けることが、習慣を作ることにつながります。

そして、「今日は5分しかやらなかった」とネガティブに捉えるのではなく、「ゼロにしなかった!」とポジティブに捉えてください。少しでもよいので毎日やる習慣がついてから、その次に、更に時間を増やしたり中身を充実させていけばよいのです。

3つ目は、予定通りに物事が進まなかったときには、なぜ予定通りに行かなかったのかの理由を考えて、具体的にどう変えるかを考えることです。

例えば、ゲームをしていたら勉強をする時間がなくなったのであれば、「勉強を終えてからゲームをする」、スマホが気になって勉強に集中出来なかったのであれば「勉強中はスマホは別の部屋においておくう」とか、疲れて集中できなかったのであれば「定期的に休憩を入れる」などと、自分なりの対策を考えられるようにサポートしてあげられるとよいでしょう。

失敗は成功の基ということを理解して、たくさん失敗をしてもよいので、そのたびに原因を考えて少しずつ改善をしていくことで、徐々に失敗の回数が減っていき、新しい習慣が身についていきます

4つ目は、睡眠をしっかりとることです。

身体の状態が整っていなければ、集中力も上がりませんし、頑張ることもできません。頑張るためには、まずは身体の状態を整えること。そしてそのための基本は、毎日、決めた時間に寝て、決めた時間に起き、十分な睡眠をとることです。

本気で勉強を頑張りたいのであれば、夜遅くまで勉強するのではなく、夜は早く寝る方がよいのです。

5つ目は、部屋の掃除をすることです。

部屋が片付いていることと、勉強ができることは、実は関係があります。物が散らかっている状態だと、気が散って集中して考えたり勉強することがしにくいからです。まずは、部屋を掃除して、環境を整えることが、習慣作りにつながっていきます。


冒頭にも書きましたが、成長に要する時間は、人それぞれによって異なり、タイミングも異なります。

そして、遅れた方がよいものが実ることもありますので、焦る必要はありません。

親自身が落ち着いて、子供が自分のタイミングで物事に関心を持って、取り組んでいくことができるように、前向きな声がけを始めとする環境作りに取り組めるとよいでしょう。

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